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カネコケンタロウ
ヒーリングサロン メルキーズ主宰
東京在住の男性ヒーラー。幼少期から精神世界に関心を持ち、10代からエネルギーワークを実践。2014年からスピリチュアルヒーリングの研鑽を積み、2016年に独立してヒーリングサロン メルキーズを設立。癒しを求めるお客様にヒーリングのセッション・ワークショップをご提供している。近年では、トルコ人向けのワークショップを開催するなど、海外向けの活動も積極的に行う。

感情解放がうまくいかない時に注目したいこと

セラピーやヒーリングでは、溜まっている感情を解放することで癒しをもたらすというアプローチが取られることがあります。

今回は、「目の前の感情をとにかく手放す」というアプローチがぶつかりうる壁と、その壁を乗り越えるために注目したい要素についてお話ししていきます。

目次

ネガティブな感情を溜め込むことがもたらす悪影響

まず、感情を解放することの重要性についてお話ししておきたいと思います。

「ネガティブな感情を溜め込むと人体に悪影響がありうる」ということをあなたも経験的に知っているのではないでしょうか。

例えば、深い絶望は食欲不振につながり、肉体を衰弱させてしまうことがあります。また、溜め込んだストレスを発散するために暴飲暴食を繰り返してしまって身体を壊すというように、間接的な形で本人に悪影響が与えてしまうこともあります。

ネガティブな感情が人体に与えるこうした悪影響は、人体を超感覚的にリーディングする時にも観察できます。

人体を超感覚的にリーディングすると、肺に喜びと悲しみが蓄積しやすいというように、「臓器ごとに蓄積しやすい感情がある」という傾向があることが見えてきます(臓器と感情のこうした関係は、東洋医学でも指摘されています)。そして、蓄積した感情が臓器の働きに影響を与えていることも見てとれます。

さらに、「ネガティブな感情を溜め込むと精神面や行動面にも悪影響がありうる」ということは容易に想像がつくでしょう。

例えば、失恋の痛手から立ち直ることができず、抑うつ的な気分が続いてしまうことがあります。その結果として、無気力で何も手につかなくなってしまうこともあります。

こうしたことを踏まえると、ネガティブな感情を解放することには一定の癒しの効果があると推測できるでしょう。そして実際、感情を解放することによって心身に癒しがもたらされたという事例は少なからぬ人からの報告があります。

「目の前の感情をとにかく手放す」というアプローチがぶつかりうる壁

セラピーやヒーリングの中には、感情を解放することにフォーカスを当てた技法が存在しています。

私が最初に学んだセラピーの技法も、まさに感情を解放するためのものでした。ヒーラーとして独立するよりもずっと以前のことですが、この技法を3, 4年間集中的に実践しました。自分自身の体験をもとにしても、またプライベートでご提供させてもらった方々の報告をもとにしても、感情を解放することには一定以上の癒しの効果があると私は経験的に知っています。

とはいえ、私が現在ヒーラーとして活動していく上では、感情を解放するだけのアプローチを取ることはそう多くありません。むしろ、感情とは違った面にもアプローチしていくことが多いです。

私がこのようにアプローチ方法を変えていった理由のひとつとして、感情を解放する技法を実践していく上で、「感情の解放だけにフォーカスするとキリがないケースもある」と思うようになったことがあります。

(以下はあくまでも私個人の実践と経験に基づく見解です。感情解放の専門家であれば別の見解をお持ちになるかもしれません。)

感情の解放だけにフォーカスするとキリがないケースとして、例えば下記の2つが挙げられます。

第1に、感情を解放しても次から次に感情が湧いてきてしまうケースです。

例えば、どれだけ悲しみを解放しても次から次に悲しみが湧いてきてしまうことがあります。湧いてきた悲しみをひたすら解放していくというアプローチを取ることもできますが、このアプローチはクライアントに小さくない負荷をかけてしまいます。

第2に、また何かのきっかけで同じ感情が再発するケースです。

例えば、人前で話すことに伴う恐怖感をいったん解放したとしましょう。その時は「もう人前で話しても大丈夫だ」と感じられたとしても、また時間が経ったら「やっぱり人前で話すのは怖い」と感じるかもしれません。あるいは、いざ人前に立つとなると恐怖が湧いてくるかもしれません。これだと、「恐怖を覚える→解放する」ということの繰り返しになってしまいます(事実、私自身もこの繰り返しを経験しました)。

このようなケースに遭遇していったことで、私は「目の前の感情を解放する以外のことも必要なのではないか?」と考えるようになりました。

誤解のないように記せば、これは私が「感情解放に意味がない」と考えるようになったということではありません。「感情を解放することには癒しの効果がある」と今も変わらず認めています。事実、臓器に蓄積した感情を解放するなどのアプローチを取ることは今でもよくあります。

「感情を解放することの効果は疑いようがないが、かといって目の前の感情を解放していくだけのアプローチだとキリがないこともある」というのが私の見解です。

感情だけでなく、思考にもアプローチする

さて、私がご提供するヒーリングのセッションでは、感情を解放するだけではなく、その感情に関係する思考(人によっては「信念」「思い込み」などと表現することもあります)を変化させるようにも働きかけていくことが多々あります。

というのも、思考と感情の間には「思考が原因となって感情が生まれる」という関係が成り立つからです。

例えば、人前で発表することに対して、楽しさの感情を抱く人と恐怖の感情を抱く人がいるとしましょう。

この両者がそれぞれ異なった感情を抱くのは、

  • 楽しさの感情を抱く人は「人前で発表することは楽しい」という価値観を持っている
  • 恐怖の感情を抱く人は「人前で発表することは怖い」という価値観を持っている

というように、異なる価値観(=ここでいう「思考」)があるからだと言えます。

そして、恐怖の感情だけを手放したとしても、「人前で発表することは怖い」という価値観(=思考)が残ったままだと、また人前で発表するときに恐怖の感情が湧いてくることがたやすく想像できるでしょう。

このことは、人のエネルギーを超感覚的に観察するとよくわかります。

ある人の中に感情のエネルギーがあるとき、その感情を生み出した源泉の方へと辿っていくと何らかの思考のエネルギーに辿り着きます。また、感情のエネルギーをいったん取り除いたとしても、その感情を生み出した思考のエネルギーが残っているとまた感情のエネルギーが湧いてくるのが観察できます。

目の前の感情を解放していくだけのアプローチだとキリがないときは、その感情を生み出す原因となっている思考がそのままになっていることがほとんどです。そして、感情を生み出す原因となっている思考を変化させれば、新たに感情が湧いてくることを食い止めることができます。

したがって、感情を解放するときには、その感情を生み出すもととなった思考にも働きかけることが得てして効果的です(思考を修正するというアプローチは、論理療法や認知療法といった心理療法にも見られるものです)。

こうした事情も踏まえて、現在ご提供しているセッションでは、感情の解放をする際には思考にも注目していくアプローチを選択することが大半です。

何でもかんでも思考に働きかけるのは、それはそれで不適切になり得る

前節では、感情だけでなく思考にも目を向けることについてお話ししました。最後は逆に、「とにかく感情を解放するだけでいい」というケースもありうることも指摘しておきたいと思います。

というのも、思考に対する働きかけに慣れている人だと、今度はかえって、何でもかんでも思考に働きかけようとしてしまうことがあるからです。

実際のところは、「思考に対する働きかけをするまでもなく、とにかく感情を解放するだけでどうにかなる」というケースもあります。

例えば、「人前に立つのが怖い」という思考はすでになくなっているが、過去に人前に立った時の恐怖感だけがエネルギーとして残ってしまっているというようなケースがあり得ます。このようなケースでは、思考への働きかけは特に必要ではなく、ただ感情のエネルギーだけを解放すれば十分かもしれません。思考へのアプローチは不必要な遠回りになり得ます。

とにかく感情を解放すればいいのか、それとも思考にまで働きかける必要があるのかは、事例ごとに見極めていく必要があるでしょう。

おわりに

今回お話しした内容をまとめておきましょう。

  • ネガティブな感情の蓄積は悪影響があり、感情を解放することには癒しの効果がある
  • しかし、目の前の感情をとにかく解放するというアプローチだとキリがないことがある
  • そうした場合、感情を生み出すもととなっている思考にも働きかけることが得てしいて効果的になる
  • とはいえ、ただ感情を解放すればいいだけのケースもあるので見極めが必要

もしあなたがセラピーやヒーリングを受けていて、感情の解放がうまくいかない(あるいは解放してもキリがない)という体験をしているならば、ぜひその感情の背景にある要素にも目を向けてみてください。

この記事があなたのお役に立っていましたら幸いです。

この記事を書いた人

東京在住の男性ヒーラー。幼少期から精神世界に関心を持ち、10代からエネルギーワークを実践。2014年からスピリチュアルヒーリングの研鑽を積み、2016年に独立してヒーリングサロン メルキーズを設立。癒しを求めるお客様にヒーリングのセッション・ワークショップをご提供している。近年では、トルコ人向けのワークショップを開催するなど、海外向けの活動も積極的に行う。

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