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カネコケンタロウ
ヒーリングサロン メルキーズ主宰
東京在住の男性ヒーラー。幼少期から精神世界に関心を持ち、10代からエネルギーワークを実践。2014年からスピリチュアルヒーリングの研鑽を積み、2016年に独立してヒーリングサロン メルキーズを設立。癒しを求めるお客様にヒーリングのセッション・ワークショップをご提供している。近年では、トルコ人向けのワークショップを開催するなど、海外向けの活動も積極的に行う。

ヒーリングをする時に相手の許可を取る必要はあるか

ヒーリングをお教えしていると、「ヒーリングをする時にお相手の許可を取る必要はありますか?」という質問を受けることが多々あります。

この質問をする方は大抵、他のヒーリングメソッドで「誰かに働きかけをする際にはお相手の許可を取りましょう」と習っています。だからこそ、別のメソッドを学ぶ時にこの質問が思い浮かぶわけですね。

しかし、質問する人の予想におそらく反して、この質問に答えることはそう簡単ではありません。この記事では、なぜこの質問に答えることがそう簡単ではないのかについてお話しします。

目次

質問に対する3つの解釈

まず、「ヒーリングをする時にお相手の許可を取る必要はありますか?」という質問は、少なくとも以下の3通りに解釈することができます。

1. ヒーリングが起こるかどうか

第1に、「ヒーリングをする時にお相手の許可を取る必要はありますか?」という質問は、「お相手の許可を取らない限り、ヒーリングは起こらないのでしょうか?」ということを尋ねているものだと解釈できます。

ここで何が問われているのかについて、パソコンと電源の関係を例に出して説明しましょう。

例えば、パソコンを起動するためには電源を入れる必要があるとしましょう。この時、電源を入れない限り、パソコンを使うことはできません。この時、「本当は電源を入れなくてもパソコンは使えるけど、マナー上は電源を入れる方が望ましい」という話ではありません。「電源を入れなければ、そもそもパソコンを使うことができない」ということが言われています。

これと同じように、「ヒーリングをする時にお相手の許可を取る必要はありますか?」という質問は、「お相手の許可を取らない限り、そもそもヒーリングは起こらないのでしょうか?」ということを問うていると解釈できます。

2. ガイドライン上で定められているかどうか

第2に、「ヒーリングをする時にお相手の許可を取る必要はありますか?」という質問は、「このメソッドのガイドラインでは、ヒーリングをする時にお相手の許可を取るように定められているでしょうか?」ということを尋ねているものだと解釈できます。

ヒーリングメソッド(を実践する人たちの団体)によっては、「◯◯な時は××しましょう」というようなガイドライン(方針)が定められている場合があります。上記の質問は、「ヒーリングをする時にはお相手の許可を取りましょう」という定めがガイドライン上存在しているかどうかを問うているのだとも考えられます。

ここで気をつけたいのは、「これはヒーリングが起こるかどうかについて問題にしているのではない」ということです。というのも、「お相手の許可を取らなくてもヒーリングは起きるが、それでもガイドライン上は許可を取るように定められている」ということが想定できるからですね。「ヒーリングが起きるかどうか」と「ガイドライン上で定められているかどうか」は別のことを問題にしているのです。

3. 倫理上望ましいかどうか

第3に、「ヒーリングをする時にお相手の許可を取る必要はありますか?」という質問は、「ヒーリングをする時には、お相手の許可を取ることが倫理上望ましいでしょうか?」ということを尋ねているものだと解釈できます。

1つの前の解釈と同様に、これもまた「ヒーリングが起きるかどうか」を問題にしているのではありません。というのも、やはり「お相手の許可を取らなくてもヒーリングは起きるが、それでも倫理的には許可を取った方が望ましい」ということが想定できるからですね。

さらに、「倫理上望ましいかどうか」は「ガイドライン上で定められているかどうか」と一致しないことがあります。例えば、犯罪組織では犯罪を犯すことが組織の方針となっていますが(≒組織のガイドライン上で定められている)、犯罪を犯すことは倫理的には望ましいことではありません。このように、「ある行為をするようにガイドライン上で定められているかどうか」は「その行為をすることが倫理上望ましいかどうか」とは別に成立するのです。

ここまでのまとめ:少なくとも3つの方向から答えることができる

このように、「ヒーリングをする時にお相手の許可を取る必要はありますか?」という質問は、少なくとも3通りに解釈することができます。

「ヒーリングをする時にお相手の許可を取る必要はありますか?」という質問には、少なくとも3つの方向(ヒーリングが起こるかどうか・ガイドライン上で定められているかどうか・倫理上望ましいかどうか)から答えることができます。

この時点ですでに、この質問に答えることがそう簡単ではないことが窺えるはずです。

それぞれの論点が持つ固有の難しさ

さらに、上記の3つの論点(ヒーリングが起こるかどうか・ガイドライン上で定められているかどうか・倫理上望ましいかどうか)については、答えることにそれぞれ固有の難しさがあると筆者は考えます。

1. 許可がなくても相手に働きかけることが可能なケースがある

まず、「許可がなくてもヒーリングが起こるかどうか」という点に関しては、「許可がなくても相手に働きかけることが可能なケースがある」ということを考える必要があります。

「許可がないと相手に働きかけることはできない」と信じ込んでいる人もいますが、実際にはそうとも言えなそうなケースはたくさんあります。

例えば、落ち込んでいる時に友人が励ましの言葉をかけてくれて、気が楽になったとします。この時、許可なくしてこちらの落ち込みがなくなった(≒気分を癒した)と言えます。

また別の例として、他の人が使った除菌スプレーが飛んで自分の皮膚にも付着し、自分の皮膚まで除菌されたとします。この時もやはり、許可なくして自分の皮膚を浄化した(≒皮膚を癒した)と言えるでしょう。

こうやって見ていくと、「許可がないと相手に働きかけることはできない」とは必ずしも言えなさそうなケースは日常にありふれていることが分かるのではないでしょうか。

もちろん、私たち人間には自由意志の法則が働いており、自分の望まないことは起こらないというのが原則です。しかし、自由意志の法則が働いているからといって、すべての働きかけに許可を取らなければならないということにはなりません(上記のケースを見ればこれは明らかです)。「自由意志の法則が働いている」ということと「働きかけに許可を取らなければならない」ということの間にはまだギャップがあるのです。

したがって実際には、「許可がなければ相手に働きかけることは不可能」と言い切ることは難しく、むしろどのようなケースであれば可能/不可能かをより詳細に見ていくことが求められます。

2. ガイドラインが明確になっていないことがある

次に、「ガイドライン上で定められているかどうか」という点に関しては、「ガイドラインが明確になっていないことがある」という問題があります。

テキストやマニュアルに「ヒーリングをする時は必ずお相手に許可を取るようにしましょう」と明確に記されているならば話は簡単ですが、すべてのメソッドがそうなっているとも限りません。

むしろ口伝えで言われているだけのこともあれば(その場合、誤って伝わっているケースもあります)、メソッドの創始者は明確な方針を持っているもののガイドラインとしては言われていないということもあるでしょう。

こうした場合、「ガイドライン上で定められているかどうか」について明確な回答をすることは難しくなってしまいます。

3. 倫理の問題は極めてファジーである

最後に、「倫理上望ましいかどうか」という点に関しては、「倫理の問題は極めてファジー(=曖昧)である」ということがあります。

一般的に、「倫理上何が望ましいか」を明確に語ることはそう簡単ではありません。

例えば、目の前で急病人が倒れていたとします。この時、相手の許可を取らずにヒーリングをすることは果たして倫理的に望ましい行為でしょうか?

「困っている人をヒーリングしないのは倫理上望ましくない」と考えたならば、「許可を取らずにヒーリングするのは善意の押し付けであって倫理上望ましくない」と反論することができるかもしれません。

かといって、「許可を取らずにヒーリングするのは急病人とはいえ倫理上望ましくない」と考えたならば、「急病人を見過ごす方がむしろ倫理上望ましくないだろう」と反論できるかもしれません。

果たしてどちらが正しいのかと考えてみれば、倫理の問題が極めてファジーなものであることがお分かりになるかと思います。したがって、「許可を取らずにヒーリングをすることは倫理上望ましいか」という問いにシンプルに答えることは難しいと言えます。

おわりに

この記事では、「ヒーリングをする時にお相手の許可を取る必要はありますか?」という質問について、

  • この質問で何が問題になっているかについて、少なくとも3つの方向から答えることができる
  • そして、3つの方向にはそれぞれ、明確に回答することを阻む固有の難しさがある

ということをお話ししました。

結局のところ、「ヒーリングをする時にお相手の許可を取る必要はありますか?」というクローズドクエスチョンに単純に「はい」「いいえ」で答えることはできないように筆者は思います。

明確に「はい」「いいえ」で答えられるケースがあるとすれば、

  • あるメソッドにおいて、「ヒーリングをする時には必ずお相手の許可を取るように」または「ヒーリングをする時にお相手の許可を取る必要はない」とガイドラインで定められている
  • その上で、「このメソッドのガイドラインでは、『ヒーリングをする時には必ずお相手の許可を取るように』と定められているでしょうか?」と質問している

というケースに限られるでしょう。

そして、それ以外のケースでは、面倒ではあっても個別具体的に考えていくしかないように思われます。

残念ながら、どんなケースにも通用する一般的な原則を私はまだ見出せていません。したがって、この記事では明確な回答を与えることができません。余計に謎が深まったように思われる方もいるかもしれませんが、誰かに教えられた原則を教義のように鵜呑みにするよりは、こうしてひとつひとつ考えていく方が考えがより深まるのではないでしょうか。

「ヒーリングをする時に相手の許可を取る必要はあるか」というテーマについて、考えを深めていくきっかけになっていましたら幸いです。

この記事を書いた人

東京在住の男性ヒーラー。幼少期から精神世界に関心を持ち、10代からエネルギーワークを実践。2014年からスピリチュアルヒーリングの研鑽を積み、2016年に独立してヒーリングサロン メルキーズを設立。癒しを求めるお客様にヒーリングのセッション・ワークショップをご提供している。近年では、トルコ人向けのワークショップを開催するなど、海外向けの活動も積極的に行う。

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